2015年5月14日木曜日

スターネットの器 作り手を訪ねて2


台風が去ってから、東京は30度に手が届く夏の暑さです。
太陽のまぶしさに比例して、緑の色も濃くなってきています。
しばらく期間があいてしまいましたが、器の作り手を訪ねる第2回目。

今回は大塚一弘さんです。
益子の窯元2代目として熟練の技を持ち、
益子焼の伝統を受け継ぎつつも常に挑戦し続ける
陶工・陶芸作家です。

スターネットのために作っていただいている
はっきりとした漆黒とほのかな白が美しい
薄く凛とした佇まいの器たち。
きめが荒いとされる益子の土でありながら
この薄さを実現できたのは、大塚さんの技だからこそです。




遊び心のあるドットや、益子伝統の飴釉を使った器たちも人気です。

  

大塚さんの工房は、スターネット益子からも程近い場所にあります。


 


いつも作業をされている工房内。
ろくろは2つあり、大塚さんと若手の女性お二人で轢いています。
この日は特別に、ろくろを轢いているところを見せて下さいました。



上の写真の土取りという工程では、形を作り始める前に
土の塊を上に持ち上げ、作るものに応じて
掌の中の土の分量を調整しています。




あっという間に形が現れ、最後に口の部分を棒状の道具で
丁寧に調節し、美しい花瓶が出来上がります。

大塚さんは益子の土、釉薬にこだわった製作を行っています。
スターネットでも定番商品として作っていただいている
飴色のものに使われている飴釉
 白いものに使われている糠白(ぬかじろ)釉も
益子の伝統的な釉薬のひとつです。

工房では、益子焼について
また今挑戦されている益子の新しい土を使った
プロジェクトについても熱く語ってくださいました。
益子焼の伝統を大切にしつつ、
それをふまえて新たなことにも挑戦していこうとする大塚さんの姿は
ものづくりの多くの可能性を感じさせてくれます。





こちらは窯のある部屋。
陶器市前でもあったため、焼きあがった器が所狭しと置いてありました。


陶器には「貫入」という、素地となる土と
上にかける釉薬(ガラス質)という2つの素材の違いから起こる
細かなヒビ状のものがつきものです。
それは裏を返せば、陶器だからこその味でもあります。

この貫入は一般的に窯で焼いたときに現れ
その後も持ち主の手に渡り使われていくうちに少しずつ変化していきます。

同じ器であっても貫入の色も形も、ひとつひとつが違います。
そして使えば使うほど、持ち主の暮らしを刻んだ
「その人だけの」器になります。

陶器は変化するもの、そして使い手が育てていくもの
という大塚さんの言葉がとても奥深く、印象的でした。


  


ただ今スターネットでは、定番の器に
夏を感じさせるさわやかな青色が加わっています。
ほかにも、大塚さんの手がけた美しい花器や大皿などもございます。

心と技の詰まったかたちと、滑らかな肌触りを
ぜひ確かめにいらして下さい。